『自由』登録。

ひっさびさの読み物です。

2006年08月17日(Thu)
『自由』登録。
高校最後の夏。僕は、自由に生きることに決めた。


「サエキ。進路なんだが・・・。」


「僕は自由に生きようと思います。進学も就職も考えていません。」


「そうか。それなら手続きをしないとな。」


「手続き?」


「そうだ。今年から法律が変わって『自由』登録制度が始まったんだ。まず書類を役所に取りに行かないとな。」


「そうなんですか・・・。面倒ですね。『自由に生きる』ってのは何にも縛られないことかと思って・・・。」


「バカ言うな。『自由』には責任が伴うんだ。それをわかってない人間が増えたから、法律が制定されたんだ。『自由』と『勝手気まま』は違うんだぞ。」


「そうですか・・・。」


先生から教えてもらって、役所に行くことに。


役所には多くの人が『自由』登録の順番を待っていた。


「すいません。『自由』登録に来たのですが。」


「整理券を持って、そちらの待合室で待っててください。」


「『自由』てぐらいだから、順番とかも自分で・・・。」


「それは『ルール違反』。『自由』とは違うんです。そちらでお待ち下さい。」


結局、長い列の後ろに並ばされた。


「次の人。」


1時間後、ようやく順番がまわってくる。


「はい。」


「こちらの部屋へどうぞ。口頭審査をします。」


「審査があるんですか?」


「当然です。そのための登録制度ですから。」


「解りました・・・。」


部屋の中には、偉そうな人が2人座っていた。


「お掛け下さい。」


「はい。」


「まだお若いのに『自由』登録に来たわけですね。」


「はいそうですが・・・、若いことは問題なんですか?」


「いえ、そうではないです。ただ、今の若い人は『自由』とは何かを考えようとしない。あるいは、『自由』が何であるかを考えることから逃げている。だから、自分が何をしなければならないかを考えなくていいように、何かの枠の中に納まろうとする。」


「はあ・・・。」


「だから、枠がなくても自分で考えることが出来る、ある程度年齢が上の方が登録に来るわけですが・・・。あなたはどうして『自由』になろうと思ったのですか?」


「はい。今の社会に未来が見出せないので、いっそのこと僕が社会を捨てようと思いまして。僕はもっと人らしく生きたいんです。社会の歯車になんかなりたくないんです。」


「はははっ。面白いことをいう人だ。それがあなたの言う『自由』ですか?」


「はいそうですが・・・?」


「いいですか?あなたは社会の中でしか生きられないのです。」


「どういう意味ですか?」


「人が人として生きる、ということは、社会の中でしか認識できないことなんです。あなた以外に人間がいない空間で、あなたを人間と認めてくれるものはいませんから。」


「でも、僕はひとりで・・・。」


「あなたはどうやって生活してるんですか?水道は使わないんですか?電気は?食べ物は?着るものは?独身男性だって、決して1人で生きてるわけじゃないんです。それは『自由』ではありません。『独りよがり』です。」


「そうですか・・・。」


「それにあなた、収入は?」


「いえ、ありませんが・・・。」


「収入無しで『自由登録』はできません。社会的な責任を全うできないからです。お引取り下さい。」


「ちょっと待ってください!一体『自由』って何なんですか!」


「『今日何時に寝るか?』」


「はい?」


「それがあなたにとっての『自由』です。」





※当然、フィクションです。途中難しい話も混じってますが、哲学的にはこんな感じですかね、『自由』って。



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"自由"についてリリーさんの言葉から Posted by 本が・好き! さん at 2006/09/17 23:45
先日読んだ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読んで、ボクの感じた自由について、とても素敵な文章があったので書きとめておきたい。ちょっと長くて大変だが、書き留めておくだけの価値は充分あると思うので。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*

↑コメントありがとうございます。 Posted by 哲学パンダ さん at 2006/09/18 00:14
ブログ読ませていただきました。
自分は不勉強なので、正確に語ることは出来ませんが、
・「自由」とは、ひとりの人間だけで完結するものではない
・「自由」=束縛のない状態と考える人は、「自由」に束縛されている
と考えているので、リリーさんとつながる所があるかと思います。
機会があったら読んでみます。

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